世界の片隅でひっそりと呟く

アラフィフのサラリーマンです

外国人参政権の根拠について

13日に武蔵野市議会の総務委員会で外国人にも住民投票投票権を与えるという条例案が可決されました。21日の議会で採決されれば成立するそうです。

勉強不足な私は「外国人にも議員のリコール権与えるなら、間接的に選挙に関与することを認めることになっちゃうんじゃないの!?」と驚きましたが、リコールみたいな法律で決まっている住民投票ではなく投票結果に法的な拘束力のない住民投票だけが対象ということだったので、「武蔵野市民がそれで良いと言うなら好きにすればいいか」というのが感想です。

 

今日お話ししたいのは、議員や首長を選ぶ選挙権のことです。

ずいぶん前にテレビ朝日の『朝まで生テレビ』で在日コリアン(以下、在日)問題についての討論がありました。その中の参政権についての討論で、在日代表の辛淑玉さんが最初に主張してたのが、

①日本人と同じ税金払ってるのに自分達だけ投票権が無いのは不公平だ。

ということ。すかさずケント・ギルバートさんが「それは世界中どこの国でも同じですよ。私も日本で税金払ってるけど、選挙権はアメリカです」と反論してました。以下、辛淑玉さんを含めた在日側の主張は、

②国籍は韓国だけど韓国の選挙権が無い(韓国は国外居住者には投票させてない)から日本の投票権を貰うのが当然である。

③在日は他の外国人とは立場が違う。日本の都合で無理矢理日本に連れて来られたんだから日本の投票権があって当然である。

などなど。

当時『挺身隊は赤紙で徴用されて組織的な強姦の被害を受けていた性奴隷である』という【事実】をすっかり信じていたレベルの知的水準である私は、「なんかおかしい」と思いつつもケント・ギルバートさんのような明快な反論が思いつかず、そのままモヤモヤしておりました。

その後、辛淑玉さんの著書を読みたくなり、買うのはお金がもったいないので図書館で借りて読んでみました。その中で参政権について覚えてるのが、

④本来そこにあるべきものなのに奪われている。

という主張です。

 

今思えば②は日本人には知ったこっちゃない、韓国政府に文句言えば?という話ですし、③は丸っ切り嘘(徴用者の大部分は帰国し、今の在日のルーツは生活の基盤が日本に出来たために自分の意思で帰国しなかった一部の徴用者と戦後に出稼ぎや朝鮮戦争から逃れるために日本に密航してきた人)だったので、反論する必要すらありません。

問題は①と④です。

 

まず①から。

バックパッカー外こもりスト(物価の安い国で貧乏生活する人)の人達ならご存知かと思いますが、ここ数年でタイの長期滞在が難しくなりました。タイ政府が在留許可をなかなか出してくれなくなったのが原因です。違法行為をする不良外国人ならともかく、大人しく滞在しているだけの外国人を何故排除するのでしょうか。それは『お金を使わずにただ滞在しているだけの人は迷惑だから』です。何も悪いことしてないのに何故迷惑なのでしょうか。それは『ろくすっぽ税金を払わずに住み着いて行政サービスだけを受けてるから』です。

道路作って、信号機作って、街灯作って、その電気代を払って、警察官の給料払って、その全ては税金で賄われてます。外国人は税金払ってないから道路歩いちゃダメとは言えませんし、外国人が事件の被害者になれば警察が捜査せざるを得ません。

要するに、税金とは行政サービスの対価なのです。

タイ政府としては、経済力が弱かった頃は外こもりストがチビチビとお金を使ってくれるだけでもありがたかったけど、経済成長した今はそれなりにお金を使ってくれる人じゃないと滞在させたくないわけです。

つまり税金と選挙権は無関係で、税金払ってなくても国民なら選挙権持ってるし、税金払ってても外国人は選挙は無いということです。

 

次に④について。

参政権というものは、その国の国民に【与えられる】もの、という解釈がそもそも間違ってます。

【国】というものは、ある特定のエリアの居住者達が自分達の代表となる組織を作り「ここは自分達の物だ」と外部の人に宣言し、それを外部の人が承認することで成立します。そして、その成立した国の中では、外部の人達とは関係なく自分達だけでルールを決めることができます(現代では人権の保護は国を超越したルールだという考え方が出てきてますが、今回は割愛します)。

これをもうちょっと具体的に説明します。

私は田舎の漁師町の生まれなんですが、親戚の叔父さん(父親の妹の旦那さん)のお葬式で、参列していた近所のおばさんに「良い人だったねぇ。旅の人(よそ者の意)だから色々と苦労しただろうねぇ」と言われました。叔父さんが他県の生まれというのは当然知っていましたが、私が物心ついた頃には既にすっかり訛っていたし、漁業共同組合員だし、地元民として全然違和感なかったので、「えっ!?よそ者だったの!?」と衝撃を受けました。「あんたみたいな人がいるから苦労したんじゃないの?」という疑問はさておき、田舎で【旅の人】から【地元民】に昇格するのは居住40年では足りなかったのです。子供(私の従兄弟)の世代になってようやく地元民になれたわけです。もし叔父さんが犯罪を犯したとか新左翼の活動家だったとか、何か地元民から嫌われることをしていたら、従兄弟もよそ者のままだったでしょう。その代わり一度地元民と認定されれば、何かしでかして村八分になることはあっても地元民のままです。

国民というのはこれです。そこに住んでると国民になる権利が生まれる、というようなものではないのです。その国の国民かどうかは、国民が決めるのです。建国した時に国民ではなかった人が国民になる、つまり帰化するためには、よそ者が田舎のコミュニティに入れてもらうように、当該国の法律や文化を守り国民に「こいつなら仲間に入れてやっても良い」と納得してもらって初めて許可されるものなのです。当該国の国民は上から目線なのです。現在の法律では、帰化の審査をするのは法務省です。なんとなく『帰化の要件を満たして申請すれば自動的に許可される』と思いがちですが、本来はヘコヘコ下手に出てお願いしてようやく認めてもらえるものなのです。一旦認めてもらっちゃえば上から目線の仲間入りです。

参政権というのはその国のルールを決める権利であり、その国の国民にしか認められません。それこそが国を作った目的だからです。誰かから【与えられた】ものではなく、国民が国を成立させた時に手に入れた権利です。なので④の「本来そこにあるべきもの」というのは勘違いです。「本来は国民にお願いして仲間に入れてもらえば手に入れられるもの」です。

 

こういうことが分かるまで20年以上かかりました。

勉強は一生続くものですね。