世界の片隅でひっそりと呟く

アラフィフのサラリーマンです

日本政府のウイグル問題への対応について

先日のエントリでも書いたとおり、私は中国でウイグル人の迫害が【ある】という前提で『日本政府は批判の声を上げるべき』と主張しているわけですが、その反面「本当に臓器売買とかやってるんだろうか」「もしかしたら事実に基づかないプロパガンダじゃないのか」という小さな疑問も抱いていることも事実であります。私には確認のしようがないので、同盟国であるアメリカの主張が正しいとの前提に立っているわけです。

これまた何度か書いていることですが、過去の私は疑うことを知らない純粋な心を持っていた(恥)ため、『官憲の慰安婦狩りにあって強制連行された挺身隊の少女が毎日レイプされていた』と聞けば涙を流し、『ナチスの洗脳でユダヤ人に対する迫害を許容してしまった善良なドイツ国民』に対して同情していました。それがインターネットの普及によって様々な言説に触れられるようになり、今や別人、まるでインド人のようにすっかり疑い深くなっております。

余談ですが、他人を信用しやすい順に並べると、

韓国人>日本人>中国人>越えられない壁>インド人

だと思っております。

イラク戦争の時に当時の小泉政権は、イギリスと共に真っ先にアメリカ支持を表明しました。結果から言うとイランの大量破壊兵器保有は全くの濡れ衣で、しかも実はアメリカの情報当局はそれを知ってたのに黙っていたというのも後で発覚しました。ということは、当時の小泉政権は『アメリカに騙された無能』か『嘘を知ってたのに事の善悪よりもアメリカに追従することを選んだ不道徳な政権』か、どちらかです。どっちなのかは当時の政権内部の人しか分からないことですが、どっちにしても結果として良い判断ではありませんでした。フランスやロシアのようにハッキリ反対するか、せめて支持か不支持かを曖昧にするべきでした。日本の威信を低下させたのは否めません。

中国の人権問題と言えば、香港の民主化活動家の弾圧というのも有名です。実は私、たまたま2019年の6月に香港に旅行に行ってまして、ビクトリアピークの帰りにデモでバスが市内に入れないということで駅から離れた場所で降ろされてしまいました。仕方なく大通りを駅に向かって歩いていたところ、いつの間にか周りが黒いTシャツ着た人ばっかになってまして、「中国政府にマークされて次に中国に旅行行ったら突然拘束されたらどうしよう?」などと焦りましたが、歩道橋の上ではみんな普通に写真撮ってたので私も開き直ってデモ隊の写真撮りました。デモ隊は凄い人数でした。何十万人か居たんじゃないかと思われます。これは報道されてたので、もし旅行に行ってなくても十分に情報を得ることができた事実です。

片やウイグル問題はと言うと、実際のところが良く分かりません。仮に何も情報が無くても、独立派が活動しているなら弾圧されてるのは間違いありません。中国政府は分離独立など決して許さないからです。しかし、具体的にどんな方法で弾圧してるのかが分かりません。例えば『刑務所に入れている』というだけであれば、これは人権問題とは言いにくいものがあります。独立運動が法に反するのであれば刑務所に入れることは当然だからです。香港の例を見る限りでは、平和的なデモに参加する程度では逮捕されないようです。これも余談ですが、私もその秋にドキドキしながら中国に行きましたが、無事に入国できました。首謀者と見做された人だけが『扇動した』という理由で逮捕されてますので、デモへの参加そのものを禁止する法律は無いのかもしれません。香港返還時のイギリスとの約束を破ったということは批判はできても、逮捕して刑務所に入れたこと自体は人権問題とは言えません。問題は刑務所の中で何が行われているかです。通常の犯罪者(窃盗とか詐欺とか)と同じ待遇だとすれば人権問題ではありません。しかし強姦や臓器売買や強制不妊手術があるなら大問題です。現代社会ではそういうのに対しては内政不干渉の対象外です。一体どっちなのでしょうか。

 

ここからが本題です。

岸田政権、と言うか現在の自民党は、ウイグル問題についてはアメリカと距離を置いているようです。しかし、岸田さんが首相になる前は非難決議に賛成していたはずです。総裁選の候補者の中では、反対派は河野太郎さんだけでした。首相は自民党総裁でもあるわけですから、岸田さんの意向は国会にも影響があるはず。首相就任後に持論を変えたのでしょうか。ネット上では『公明党の反対で強い批判が出来なかった』という論説が多く見受けられます。岸田さんの『反対を押し切る気概が無い』という傾向からでしょう。

しかし、ここで気になることが1つあります。

それは『ウイグル問題に対して強い非難をしていない』というのは菅政権の頃から同じだったということです。もちろん当時から公明党の意向は重要だったでしょうが、少なくとも【岸田さんだから】非難決議を出せない、ということではありません。安倍さんは習近平との首脳会談で言及していますし、菅さんはコロナ対策でそれどころではなかった、ということかもしれません。しかし、それでも欧米諸国のように経済制裁することもなく、なんとなく一歩退いてるように見えます。

ここから先は私の推測です。

もしかしたら日本政府は『ウイグル問題にはアメリカのプロパガンダが入っている』と考えているのではないでしょうか。国会議員の立場としては選挙に勝つことが最優先なので、国民が中国への批判を望むなら威勢良く批判すれば良い。しかし政府となるとそうも言ってられません。小泉政権の失敗を繰り返さないように慎重に情報収集に努めているから今は強い非難決議は出さない、ということであれば、ただの弱腰とは全然違うので評価するのはまだ先の話です。

もし中国との経済関係を重視してウイグル人への人権侵害を見逃しているなら許せませんけどね。