世界の片隅でひっそりと呟く

アラフィフのサラリーマンです

日本政府のウイグル問題への対応について

先日のエントリでも書いたとおり、私は中国でウイグル人の迫害が【ある】という前提で『日本政府は批判の声を上げるべき』と主張しているわけですが、その反面「本当に臓器売買とかやってるんだろうか」「もしかしたら事実に基づかないプロパガンダじゃないのか」という小さな疑問も抱いていることも事実であります。私には確認のしようがないので、同盟国であるアメリカの主張が正しいとの前提に立っているわけです。

これまた何度か書いていることですが、過去の私は疑うことを知らない純粋な心を持っていた(恥)ため、『官憲の慰安婦狩りにあって強制連行された挺身隊の少女が毎日レイプされていた』と聞けば涙を流し、『ナチスの洗脳でユダヤ人に対する迫害を許容してしまった善良なドイツ国民』に対して同情していました。それがインターネットの普及によって様々な言説に触れられるようになり、今や別人、まるでインド人のようにすっかり疑い深くなっております。

余談ですが、他人を信用しやすい順に並べると、

韓国人>日本人>中国人>越えられない壁>インド人

だと思っております。

イラク戦争の時に当時の小泉政権は、イギリスと共に真っ先にアメリカ支持を表明しました。結果から言うとイランの大量破壊兵器保有は全くの濡れ衣で、しかも実はアメリカの情報当局はそれを知ってたのに黙っていたというのも後で発覚しました。ということは、当時の小泉政権は『アメリカに騙された無能』か『嘘を知ってたのに事の善悪よりもアメリカに追従することを選んだ不道徳な政権』か、どちらかです。どっちなのかは当時の政権内部の人しか分からないことですが、どっちにしても結果として良い判断ではありませんでした。フランスやロシアのようにハッキリ反対するか、せめて支持か不支持かを曖昧にするべきでした。日本の威信を低下させたのは否めません。

中国の人権問題と言えば、香港の民主化活動家の弾圧というのも有名です。実は私、たまたま2019年の6月に香港に旅行に行ってまして、ビクトリアピークの帰りにデモでバスが市内に入れないということで駅から離れた場所で降ろされてしまいました。仕方なく大通りを駅に向かって歩いていたところ、いつの間にか周りが黒いTシャツ着た人ばっかになってまして、「中国政府にマークされて次に中国に旅行行ったら突然拘束されたらどうしよう?」などと焦りましたが、歩道橋の上ではみんな普通に写真撮ってたので私も開き直ってデモ隊の写真撮りました。デモ隊は凄い人数でした。何十万人か居たんじゃないかと思われます。これは報道されてたので、もし旅行に行ってなくても十分に情報を得ることができた事実です。

片やウイグル問題はと言うと、実際のところが良く分かりません。仮に何も情報が無くても、独立派が活動しているなら弾圧されてるのは間違いありません。中国政府は分離独立など決して許さないからです。しかし、具体的にどんな方法で弾圧してるのかが分かりません。例えば『刑務所に入れている』というだけであれば、これは人権問題とは言いにくいものがあります。独立運動が法に反するのであれば刑務所に入れることは当然だからです。香港の例を見る限りでは、平和的なデモに参加する程度では逮捕されないようです。これも余談ですが、私もその秋にドキドキしながら中国に行きましたが、無事に入国できました。首謀者と見做された人だけが『扇動した』という理由で逮捕されてますので、デモへの参加そのものを禁止する法律は無いのかもしれません。香港返還時のイギリスとの約束を破ったということは批判はできても、逮捕して刑務所に入れたこと自体は人権問題とは言えません。問題は刑務所の中で何が行われているかです。通常の犯罪者(窃盗とか詐欺とか)と同じ待遇だとすれば人権問題ではありません。しかし強姦や臓器売買や強制不妊手術があるなら大問題です。現代社会ではそういうのに対しては内政不干渉の対象外です。一体どっちなのでしょうか。

 

ここからが本題です。

岸田政権、と言うか現在の自民党は、ウイグル問題についてはアメリカと距離を置いているようです。しかし、岸田さんが首相になる前は非難決議に賛成していたはずです。総裁選の候補者の中では、反対派は河野太郎さんだけでした。首相は自民党総裁でもあるわけですから、岸田さんの意向は国会にも影響があるはず。首相就任後に持論を変えたのでしょうか。ネット上では『公明党の反対で強い批判が出来なかった』という論説が多く見受けられます。岸田さんの『反対を押し切る気概が無い』という傾向からでしょう。

しかし、ここで気になることが1つあります。

それは『ウイグル問題に対して強い非難をしていない』というのは菅政権の頃から同じだったということです。もちろん当時から公明党の意向は重要だったでしょうが、少なくとも【岸田さんだから】非難決議を出せない、ということではありません。安倍さんは習近平との首脳会談で言及していますし、菅さんはコロナ対策でそれどころではなかった、ということかもしれません。しかし、それでも欧米諸国のように経済制裁することもなく、なんとなく一歩退いてるように見えます。

ここから先は私の推測です。

もしかしたら日本政府は『ウイグル問題にはアメリカのプロパガンダが入っている』と考えているのではないでしょうか。国会議員の立場としては選挙に勝つことが最優先なので、国民が中国への批判を望むなら威勢良く批判すれば良い。しかし政府となるとそうも言ってられません。小泉政権の失敗を繰り返さないように慎重に情報収集に努めているから今は強い非難決議は出さない、ということであれば、ただの弱腰とは全然違うので評価するのはまだ先の話です。

もし中国との経済関係を重視してウイグル人への人権侵害を見逃しているなら許せませんけどね。

<安倍元首相単独インタビュー>北方領土「2島返還軸」への転換認める 「100点狙って0点なら意味ない」

北海道新聞の記事です。

<安倍元首相単独インタビュー>北方領土「2島返還軸」への転換認める 「100点狙って0点なら意味ない」:北海道新聞 どうしん電子版

内容はタイトルどおり。ロシアのプーチン首相との交渉で、国後択捉は返還を求めず2島返還で交渉を進めていた、という内容です。

これはどうなんでしょうか。

私は安倍さんの外交については概ね支持しておりましたが、これは微妙です。日本は確かに日ソ共同宣言で『2島返還』で合意?しましたが、その後それを反故にして『4島返還』を主張し続けてきました。改めて『2島』に後退するなら、それで合意できていなければなりません。結果的にロシア国内の反発で合意は得られませんでした。これは安倍さんの読み違い、はっきりと【失敗】じゃないですかね?

一旦妥協してしまったので、もう今後は4島返還を主張するのは難しくなってしまいました。「4島返還で100点を狙って0点に終わるより50点で妥結した方が良い」というのは一理あります。近い将来では4島返してくれる見込みは殆どゼロなので。ロシアが破綻寸前になるのを待てばイケるかも、とも思いますが、いつまで待っても破綻しなかったらゼロのままです。国境線を確定できれば平和条約締結はすぐですので、緊張緩和になりますしシベリア開発にも弾みが付きます。半々ならともかく、小さいやつ2つと言うのは悔しいですけどね。しかし、妥協したのにも関わらず相手に蹴られたのでは失敗です。近いうちに合意できれば失敗ではありませんが、まあ無理でしょうね。

北京五輪の外交ボイコット「すべきでない」43% 朝日新聞世論調査

今日5chのまとめサイトで見つけたニュースです。12/20の日付なので1週間前のニュースなんですね。

↓これです。

朝日新聞デジタル on Twitter: "北京五輪の外交ボイコット「すべきでない」43% 朝日新聞世論調査 https://t.co/WXYyTwzxaj 「するべきだ」と答えた人は、男性42%に対し、女性28%でした。 年代別に見ると、「するべきではない」は18~29歳の54%が一番多く、60代が35%で最も少なかった。… https://t.co/xG9S37hLFP"

↓そして実際のアンケート結果はこちら。

朝日新聞世論調査―質問と回答〈18、19日実施〉:朝日新聞デジタル

朝日新聞なのでバイアスかかってるでしょうから、『すべきでない』の方が多いのは当然です。『すべきでない』が42%で『するべきだ』が35%ということは、世間一般では『するべきだ』の方が多そうです。

もう『ボイコットする』で決まったのにこれを紹介したのは、『するべきではない』が一番多かったのが18〜29歳で54%、一番少なかったのが60代の35%というところ。

これ凄く意外じゃありませんか?

朝日だからパーセンテージは高く出てるとしても、年代別の傾向はそんなに変わらないと思います。私は全く逆の結果になりそうな気がするんですが。うーん、分かりません。

 

私は『すべきではない』派だったので、結果的に岸田首相は私の願いとは逆を選んでしまいました。しかも『ウイグルの人権問題に抗議してほしい』という私の願いも叶いませんでした。

これ、どういう狙いがあってそうしたんでしょうか。側から見ると『アメリカに同調せざるを得ないけど中国も刺激したくない』という非常に消極的、と言うか、みっともない道を選んだように思えます。私としては『中国のメンツは潰さないように礼儀は礼儀として尽くすためにボイコットはしない』、しかし『ウイグルの人権侵害については問題視していると公言する』ことで日本の立場はハッキリさせておく、これがベストだと思ったんですが。「もし戦争になったら100%アメリカの味方するけど、できるだけそういう事態は避けたい。あんたのメンツは潰さないようにアメリカを説得してあげるから、あんたも少しこっちの言い分を聞け」と中国に言える立場になってほしかった。イランに対しては日本はこういう立場に立ってるんですけどね。今回の決定で、中国からは「こいつ韓国と同じだな。今後はアメリカだけ相手してればいいや」と思われてしまったかも、と思うと残念でなりません。どうせボイコットでメンツ潰すなら遠慮なくウイグル問題でも吊し上げてやれば、少なくともアメリカからの信頼は失わずに済んだのに。周りの様子見て後出し、しかも遠慮がちに。実に残念です。

「日本を嫌いな韓国人」と「日本を嫌いな中国人」には“大きな違い”があった…!

↓マネー現代の記事です。

「日本を嫌いな韓国人」と「日本を嫌いな中国人」には“大きな違い”があった…!(羽田 真代) | マネー現代 | 講談社(1/7)

12/7の記事なので掲載後2週間も経ってしまってますが、私が読んだのが昨日なので今日のエントリにします。

内容は、韓国については1ページから5ページ『捏造を繰り返して日本に嫌がらせばかりしている』ということを実例を挙げて紹介しており、6ページで中国について書いて、最後の7ページがまとめという感じです。

私が紹介したいのは6ページ中段の中国について書かれている部分です。抜粋して引用します。

<<今年8月に中国・大連で「日本風情街」という日本をテーマにしたショッピング通りがオープンしたが、開業わずか1週間で休業に追い込まれたことは記憶に新しい。

しかし、中国、特に富裕層の間では自宅に和室を作るなど、独自に日本文化を楽しんでいるという。この他にも若者の間では日本のコスプレ文化が派生・進化しており、日本の関係者からは「既に日本を抜いた」と危惧する声も上がっているほど、高クォリティーだという。

今年8~9月に実施された日中共世論調査では、中国人の日本に対する印象は66.1%もの人が「良くない」と答えた。大多数の中国人が日本に対し好印象を抱いていないが、それでも日本嫌いを他人に強要する声は韓国よりも遥かに少ない。

中国には、他国の文化を受け入れる懐の深さが少なくとも韓国よりはあるようだ。>>

この『懐が深い』という箇所には違和感があります。懐が深い人というのは『自分とは意見が違っている相手でも受け入れる大人な対応をする人』というような意味だと思いますが、中国人の場合は日中関係が自分にとって大して重要じゃないからあんまり気にしないし他人にも強要しない、自分が気に入った物は日中関係など気にせず使う、という方が正確なんじゃないかと思います。満州事変から第二次世界大戦までは実際に戦った敵国ですし、今は敵対関係にあるアメリカの同盟国ですし、感情が良くないのは当然でしょう。しかし中国人は今現在や将来的な損得を重視するから、日本が中国の国益にマイナスな行動を取れば悪感情を持つしプラスな行動を取れば感情が良くなるという、ごく普通の反応を示しているだけです。それに対し、韓国人は国益よりも感情を重視しているから、慰安婦に謝罪すれば感情良くなるし、反論したり無視したりすれば感情悪くなります。つまり中国人は普通で韓国人が特殊なのです。

中国は日韓の論争では韓国に味方することが多く、味方まではしなくても日本には味方しないので、【中韓】と一括りに考えている人が多いように見受けられますが、ちゃんと分けて考えた方が良いです。韓国は下からの反日ですが、中国は上からの反日です。中国の反日は、政府がその効果を考えてやっているものです。なので、その時の都合で反日になったり急に融和的になったりします。韓国は一本筋が通っているのでそんなにコロコロ変わりません。

日本人が中国人(漢民族ではなく中共の国民という意味)に対して見る目には、『中国共産党の圧政に苦しんでいる被害者であり救うべき対象』というのがあると思いますが、これは間違いです。もしそうなら反政府運動への支援で共産党を政権から追い出すことができる可能性があります。しかし、圧政に苦しんでいるのは民主化運動家やウイグル独立運動家だけです。香港のような元々民主主義だった地域以外では「民主主義?何それ美味しいの?」という状態でしょうし、ウイグル独立派に対しては「せっかく統一国家できたのに…」と思ってるのではないかと。香港で民主的に選挙やったら民主派が勝ちそうですが、それでも本土から引っ越して来た人はどちらかと言うと共産党寄りだと思います。本土の人からは、香港の民主化運動の人に対して「同じ中国人なのに本土の人を切り捨てて自分達だけ美味しい思いをしようとしてる」とか考えてそうな気がします。また、中国は『多民族国家である』というのを誇っており、民族主義というのを毛嫌いしてるフシがあります(余談ですが、アジア圏で白人コンプレックスを持ち合わせていない唯一の民族が漢民族だと思います)。なのでウイグル独立派はウイグル自治区内でも多数派とは思えません。つまり大多数の中国人は『このままで良い』と考えている、言い換えると『消極的な共産党支持者』だと思います。改革開放路線の成果ですね。これまた余談ですが、私としてはウイグルチベット住民投票やって独立派が勝つなら独立させてあげた方が中国人にとっても良いと考えてます。立地条件的に独立しても中国の属国みたいな状態なのは変わりませんので、中国人に損はありません。共産党としては『独立の是非を問う住民投票を実施する』という前例を作ること自体が許せないでしょうけど。

これまでも何度か書いてますが、中国人はかなり合理的な人達です。アメリカとの対立をイデオロギーの問題だとは全然考えておらず、ただの勢力争いだとしか考えていません。アメリカの批判に対しては「自分に都合のいいこと主張してるだけだろ」という感じです。と同時に、中国政府の主張に対しても同じ目で見ています。中国政府の主張の方が自分に都合が良い時に支持しているだけです。どちらかと言うと日本人の方がプロパガンダに弱い気がしてます。中国人ですら信用してない中国政府の言い分をパヨは全面的に信用してる時ありますので。実際アメリカは、『女性の人権』でタリバンをめっちゃ批判する割にはアラブ圏で最大の同盟国がサウジアラビアです。イランなんてサウジアラビアと比べたら全然民主的です。イスラエルばっか味方するのも欧米人以外には納得できないところ。アメリカは常に正義を旗印にしてはいますが、朝鮮でもベトナムでもアフガニスタンでも自国の利益や安全保障のために戦っただけで、純粋に当該国の国民のために戦ったことは一度もありません。『イラクは攻撃したのに北朝鮮を攻撃しないのは石油が出ないから』という話も大いに頷けるところがあります。アメリカの【正義】はただのプロパガンダでしょう。なので香港もウイグルも、中国人から見ればアメリカが中国の足を引っ張りに来てるだけです。その点、日本の方が感情に訴えかけられると弱いところがありますね。韓国ほどではありませんが。

中国との交渉は、感情やイデオロギーでは上手くいきません。ギブアンドテイク、【理】と【利】、飴と鞭で交渉しなければなりません。こちらにとって都合の良いことに、中国は威信という無形のものを非常に大切にします。朝貢貿易がその良い例です。ちょっと頭を下げるだけで過大なお土産を持たせてくれるので、周辺国はこぞって朝貢してたわけです。今は中国も『国家間の関係は対等』という建前を渋々受け入れてますので、別に頭を下げる必要は無くなりました。しかし、メンツを立ててあげればこっちの要求を飲ませやすいという傾向は変わってません。双方に利がある話なら理を持って説明すれば普通に交渉はまとまりますし、こちらにしか利が無い話なら表面上はメンツを立ててあげる、つまり退却の言い訳(例えば南シナ海なら「フィリピン人民のために」みたいな)を用意してあげて裏で恫喝することで妥協を引き出せるでしょう。

韓国人は理も利も通じませんし、借りができたから後で返さなくてはなんて考えませんし、メンツを立ててあげると更に調子に乗ってロクなことになりません。表も裏もなくただ恫喝するのが一番です。

対立の裏で手を握る米仏…韓日はなぜ「国益中心」になれないのか

中央日報の記事です。

対立の裏で手を握る米仏…韓日はなぜ「国益中心」になれないのか | Joongang Ilbo | 中央日報

<<米国とフランス、英国とフランスの間に起きていることを見ると、韓日関係を思い出す。両国には歴史問題、通商紛争だけでなく軍事葛藤もある。もちろん海上哨戒機の低空威嚇飛行事件に対して日本は責任回避で一貫している。しかし今のように韓日関係を放置するのは韓国の国益にプラスにならない。インド太平洋地域の安全保障環境が尋常でないからだ。少なくとも日本との戦略的意思疎通チャンネルは設けるべきでないだろうか。>>

最後の一段落だけ引用しました。その前は、『アメリカとフランスは対立してるけど重要なことについては連携している』というようなことを例を挙げて書いています。

 

『韓国の国民がそれを望んでいるから』としか言えませんよね。国民が国益よりもその時に一時的に気分良くなることの方を望んでいるわけですから、政府も当然そうするわけです。文在寅は直接選挙で選ばれた人ですからね。猫にマタタビ、韓国人に反日嫌韓に韓国です。

「お前らを漁師に戻す」ソマリアの海賊をあっという間に消滅させた"すしざんまい社長"の声かけ 年300件の海賊行為が一気に消滅

数日前のプレジデントオンラインの記事です。今はもう削除されてます。

要約すると、『戦乱ですっかり荒廃したソマリアでは海賊が出没して漁師が漁に出られなくなってしまった。喜代村の社長がソマリア沖のマグロを仕入れたくてソマリアに行ったら、漁師自らが海賊と化していた。獲れたマグロは全部買い取ると約束したらみんな漁師の仕事に戻って海賊行為がピタリと止んだ』というような内容です。

ずいぶん前に同じ記事を読んだので「転載かな」と思ったんですが、今日になってから実はフェイクニュースだったというのが発覚して削除したそうです。喜代村の社長が、数年前に話題作りでついたホラがウケたので、味を占めてもう一回同じネタを売り込んだ、というのが真相なようです。確かに出来過ぎてますよね。事実だったらノーベル平和賞ものですからね。日本人は信用するところから入る面があるので、こういう人にとっては非常に住みやすい社会でしょう。ホラ話は別に犯罪でも何でもないですし。掲載したプレジデントからすれば損害賠償請求でもしたいところでしょうが、世間からすればマスコミが裏を取らずに掲載する方がおかしいとしか思いませんからね。これが中国のような疑うところから入る社会では掲載してもハナから信用されないでしょうし、『ここでは騙す人の方が普通の人なのではないか?』『もしかして【信用】に該当するヒンディー語は存在しないのではないか?』という疑問を持つレベルのインドでは記事にもしてもらえないものと思われます。

 

この記事を紹介した目的は「フェイクニュースに気をつけましょう」ということではなく、フェイクを暴いた高野秀行さんと梅本優香里さんのツィートを紹介したいからです。

↓高野さんがこちら。

高野秀行 on Twitter: "海賊とすしざんまいの社長が話題になっているけれど、そもそもソマリアの海賊は漁業と似通ったビジネスモデルで行われているから、お金を出す人が「船じゃなくて魚を捕まえよ」と命じれば、スタッフはそれに従うはず。ただし、外国人が現地のソマリ人と信頼関係を築くことはすごく難しいだろう。"

2016年のツィートですので、前回の上記記事の配信の時点で既にフェイクだというのは暴かれてたんですね。

↓そして梅本さんがこちら。

Yukari Umemoto/梅本優香里@アフリカビジネスパートナーズ on Twitter: "2015年のフェイクニュースが復活。当時すしざんまいさんに確認しましたが、ソマリアにはまぐろを陸揚げできる港がなく、またすしざんまいは「冷凍倉庫や流通設備」していないので、沖合で捕獲しセーシェルで陸揚げしたとのこと。つまり、海賊は漁師になっていないし、なんの仕事もあげていません。… https://t.co/F3G5cupQ1x"

高野さんのツィートからは、『仕事として海賊をやっている』ということが、そして梅本さんのツィートからは『仕事ができる環境が整っていなければ働こうにも働けない』ということが分かります。喜代村の社長も同じことを言ってたわけですが、いかんせんホラ話では価値がありません。

この2つのツィートを紹介したのは、私が考える「無敵の人を減らすことが犯罪を減らす最良の方法である」という主張の良い例だと思ったからです。ヤクザや技能実習生のことです。

どんなに恵まれていても犯罪者になってしまう人がいます。なので犯罪をゼロにすることはできません。しかし、そういう根っからの犯罪性向の人よりも、環境が原因で犯罪者になってしまった人の方がずっと多いと思われます。何も失う人が無いから開き直って犯罪者になった、という人が大多数なのではないでしょうか。これは私より先に多数の人が主張していることです。であれば、『無敵の人』を『守るべきものがある人』に変える、即ち『無敵の人に社会的地位を与える』ことで大幅に犯罪を減らすことができる、と思います。社会からはみ出した人に社会の中での居場所を作ることです。『生かさぬよう殺さぬよう』な給料で働かせないこと、犯罪者ではない仲間達と共に生きて行く場所を行政が整備すること、この2つを実行できればみんなが笑顔で生きられる社会を作ることができると確信しております。

台湾と韓国を交換する作戦

ずっと前から考えていた構想ですが、もうタイミングを逃してしまったのでもはや【妄想】です。

構想の内容は、タイトルそのまんまです。

『どれだけ引き止めてもいつかは必ず中国側に行ってしまうんだから、どうせなら率先して中国に差し出して代わりに台湾を諦めてもらおう』

というものです。

要するに、米軍の撤退と台湾の独立をバーターで取り引きしよう、という構想です。樺太千島交換条約みたいな感じの。もちろん、台湾が独立するかどうかは台湾が決めることなので、中共には「台湾を核心的利益から外す」みたいなことを言ってもらうだけです。台湾が望めば中共自治区になることもできるし、独立宣言するなら妨害しないと約束してもらう。当然ながら『台湾から大陸に反攻する』という夢物語みたいな国是は捨ててもらうのが前提です。

トランプ大統領は似たようなこと考えてたんじゃないかと想像します。米軍撤退という餌をどれだけ高く売ることができるか、みたいなことを。中国だけではなく北朝鮮も商売相手として考えられますし。

何故アメリカが韓国を自国の勢力に留めておきたいかと言えば、韓国の位置が重要だからだと思われます。大陸の一部に、小さくても良いから自国の勢力圏を保持しておく。そうすれば仮に何らかの要因で戦争になった時に韓国の港湾に兵力・物資を陸揚げできます。もし韓国が敵に回ったら大陸への足掛かりを失い、また仁川上陸作戦から始めなければならなくなってしまいます。韓国が無いと陸軍を大陸に送り込めないわけです。この地政学的な価値を十分に自覚していた韓国は、少々の我儘を言っても大丈夫という判断の基に日本に難癖を付けて来ていたわけです。実際にその判断は正しく、アメリカは常に日本に譲歩させていました。

日本は日本で大陸の勢力、一昔前はソ連、今は中国からの脅威を遠ざけるために、韓国を盾として使いたいという事情があります。第二次世界大戦前は同じ理由で日清日露と2回も戦争し、併合してからも大金を注ぎ込みました。すぐ近くに仮想敵国の基地があるというのは大変な脅威です。もし対馬から目と鼻の先にある鎮海の軍港に仮想敵国の海軍基地があったらどうなるか。対馬は全島を要塞化してミサイルでハリネズミのような島にしなければならないでしょう。尖閣諸島で押し合いへし合いしてるどころの話ではなくなります。だからこそ中国と仲の良い北朝鮮が韓国を吸収することがないように援助し、また、韓国そのものが東側に走らないように不本意ながらも譲歩を重ねて来たわけです。

しかし、時代は変わりました。韓国の地政学的な価値は低下してしまいました。ソ連がロシアに変わってからは極東での脅威は大幅に減少し、ヨーロッパ方面が前線になっています。極東ではソ連に代わって中国が正面の敵になりました。ソ連時代は北海道が最前線でしたが、今は沖縄が最前線です。北朝鮮は、日本にとっては核とミサイルで直接脅威を与える存在となり、間にある韓国はどうでも良い感じになっています。日本としては、後は韓国に軍事基地を作られることだけを避ければ良い状態です。アメリカにとっても、大陸に軍隊を送らなければならなくなる可能性は北朝鮮との戦闘が発生した時ぐらいでしょう。アメリカが中国やロシアと直接矛を交えることは、お互いに絶対にしないと思います。つまり韓国は、アメリカにとって『生命線』とまでは言えない立場になっていると思われます。少なくとも朝鮮戦争の時のように先頭に立って戦う気はないでしょう。

中国の立場では、鴨緑江の対岸に米軍基地を作られるのは絶対に避けたいところです。対馬海峡は50kmぐらいありますが、こちらは川ですからね。また、難民の大量流入も凄く困ります。常日頃から一生懸命国民に不満持たれないように頑張ってるのに、いきなり食うや食わずの人達が激増して暴動でも起こされたら大変なことになります。だからこそ潰そうと思えば簡単に潰せるのにも関わらず、北朝鮮の核開発を苦々しく思いながらも『生かさぬよう殺さぬよう』程度に物資を送り続けているわけです。

ここまで考えると、『朝鮮半島には基地を作らない』という条件付きであっても米軍が撤退してくれるのは中国にとって非常に都合の良いことなので、何らかの代償を貰えそうです。韓国側から北朝鮮を攻撃することは無いでしょうから、中国は難民流入をそれほど心配しなくても良いと思われます。ベトナムの例からして戦争になったら恐らく北朝鮮の勝ちです。そして、中国から貰う代償というのが『台湾を諦めること』です。これは中国にとっては凄く難しい決断となりますが、地続きの脅威がゼロになるというのも凄く大きいので、合意する可能性はゼロではないと思います。日本は難民キャンプの準備だけはしておかなければなりませんが。

 

最初に書いたタイミングを逃したと言うのは、この構想は李明博大統領の頃ならイケたんじゃないかと思うんですが、朴槿恵以降は『脅せば逆らわない』ということが中国にもハッキリと分かってしまっており、『米軍撤退』の値段が安くなってしまったからです。それに対し台湾は、中国の海軍力の増強で戦力差が縮まっており、また、ここ数年は外交戦でバチバチやっているので、中国としては引き下がりにくくなっています。つまり今の台湾の対価としては、今の韓国では釣り合わない状況です。

ということで、もう実現しそうもない構想ですが、米軍撤退を習近平の手柄にしてあげる代わりに他の方面で譲歩させて緊張緩和というのは是非やってほしいところです。その落としどころを日本が立案し、米中を説得して合意させる。なんか胸アツです。韓国も北朝鮮と一つになれてwin-winですよね。