世界の片隅でひっそりと呟く

アラフィフのサラリーマンです

アフリカを発展させる方法(その1)

この命題、いつまで経っても答えが出ません。私が子供の頃からテレビで「今アフリカでは○○秒に1人の子供が亡くなっています」みたいなCMが流れていました。ユニセフか何かが援助のための寄付を募るCMです。もうかれこれ40年、相変わらず援助し続けてます。しかし状況良くなる気配がありません。

何故なのか。

どうしたら良いのか。

世界中の人が何十年も考えて答えが出てないのに、私如きが考えようとするのは結構無謀です。現実には無理なんでしょう。そのため、非現実的な方法も含めて検討したいと思います。

 

例によって、まずは『アフリカ 発展しない 理由』でググります。寄付を募るNGOみたいな団体のホムペがオンパレードになりますが、中に具体的な方法を発見しました。Chikirinさんと言う人が、ブログでそのものズバリ『アフリカが発展しない理由』というエントリを書いてまして、その中で、

"100年の期限で西欧諸国に植民地として統治してもらう"

という方法を提案しておりました。

実は実際にググッたのは何ヶ月も前のことで、Chikirinさんがブログの中でアフリカの実情を書いた本を紹介してくれてたので、それもAmazonで買って読んでみました。『貧困の光景(著者曽野綾子)』と『アフリカ 苦悩する大陸(著者ロバート・ゲスト)』の2冊です。それでわかったことは、要約すると『援助を受ける側の政府や国民の意識が変わらなければどれだけ援助しても発展する見込みはない』ということです。

どれだけ援助しても、資金なら政治家が自分の懐に入れる。食糧ならそれを配る役人が横流しして市場で売る。医薬品なら医者が患者から薬代を請求する(つまり貧乏人には手に入らない)。学校の教科書代は先生が持ち逃げする。援助を受ける側の庶民達も、今日を生きることだけで精一杯で援助物資を有効に使えません。田舎の村に井戸を掘って手動のポンプを付けたら誰かが外して売ってしまった。衛生面を向上させようとしてトイレを作ったら便器を盗みに来た人がいたので鍵を付けることにした(結局誰も使ってない)。役人や医者にピンハネされないように病気や栄養失調の子供の親に直接食糧や薬を渡したら、薬は市場で売られ食糧は自分や他の健康な子供が食べた(助かりそうもない子供は見捨てて育つ見込みの高い子供を優先した)。などなど。先日私が書いた『一帯一路と債務の罠』のエントリの中の『救急車を送ったら分解して部品として売られてしまった』という記述は、この本に書いてあったエピソードです。読んでて絶望的な気持ちになりました。

しかし諦めるわけにはいきません。考えるだけは考えてみます。

 

最初に、どの国を発展させるかを決めます。アフリカと言っても広いんですが、南アフリカや地中海沿岸ではなくてアフリカ中部の国々です。Wikipediaで『後発開発途上国』を調べれば一目瞭然、該当国がアフリカ中部に集中してます。その中でも最も難易度が高そうな国を選びます。コンゴ民主共和国です。隣にコンゴ共和国と言うのがあってややこしいのですが、今回は『コンゴ』と略します。面積は日本の6.2倍、人口は日本の70%、かなり大きな国です。ダイヤモンドやコバルトなどの希少な資源を多く産出し、それを巡って部族間闘争や武装勢力による内戦、周辺国からもちょっかい出されているという、発展の基礎となる『社会の安定』が全然ダメな国です。この国を発展途上国トップレベルのマレーシアぐらいまで引き上げる方法を考えます。

 

手間がかからない方から難しい方へ考えていきます。

第1案:放置する

国内のことには干渉しない。外部とは物々交換でも闇ドルでも良いから交易だけを行う。そのままほどほどに発展するのを待つ作戦です。しかしこれで上手く行くかどうかはソマリアを見ればわかります。ダイヤモンドを奪い合ってるコンゴでは見込み無さそうです。政府や武装勢力によっぽどカリスマ性あって軍事的にも天才な指導者でも現れない限り国内が安定しないものと思われます。

 

第2案:先進国の植民地にする

先述のChikirinさんが提案してた作戦です。先進国が社会制度をお膳立てしてそのまま三世代ぐらい経過すれば国民の意識も先進国並みになる、それから独立させる、という作戦。なるほどと思いましたが、植民地経営というのは宗主国が儲かるからやるわけで、国中に道路作ったり学校作ったりする宗主国はいないという点が問題です。帝国主義時代の植民地は、道路や鉄道は産出地から港までは作りますが、住民が使うための鉄道は作りません。学校は植民地経営に必要な人材を養成する分しか作りません。ベトナムホー・チ・ミンやフィリピンのホセ・リサールのように教育を受けた人達の中には必ず愛国者が出てきて反乱の原因になるのでできれば教育はしたくないんですが、下っ端役人まで宗主国の人にしたら膨大な人数が必要となるので、現地の人を使わないわけにはいきません。仕方なく統治に必要な人数だけに教育を施します。一般庶民には肉体労働だけしかやらせないので教育は不要です。「何もない国と資源が出る国をセットにして儲かるようにする」というフォローはありましたが、植民地の資源は農産物でも何でも良いんです。何かの原材料となる物を産出、或いは生産して、それを宗主国が安価に入手し、消費するか工業製品に加工するか他の国に売るかして、更に、植民地を宗主国が作った工業製品の市場とすることで植民地経営は儲かるわけです。石油が出る出ないはあんまり関係ありません。極論を言えば資源ゼロでも安価な労働力があるだけで良いわけです。発展して賃金上がったら儲からないからわざと発展抑えます。結論として、植民地は何年統治しても発展しません。

 

第3案:委任統治

戦前の国際連盟が採用してたやつです。これは推測ですが、Chikirinさんは植民地とは書いてたけど頭の中ではこっちをイメージしてたんじゃないかと思います。戦後の国際連合信託統治も似てますが、軍事基地などは作ってはいけないという点で国際連盟委任統治の方が良い気がします。中でもB方式という、受任した国が責任持って統治してある程度発展させて将来的に独立させる、というのが良さげです。しかし国際連盟は短期間で終わってしまったので、実際に結果出したのは国際連合信託統治の方です。この信託統治第二次世界大戦終結後の1945年から始まって1994年にパラオが独立したことで終了しましたが、アフリカに関しては結果はあまり芳しくありません。Wikipediaで調べたところ、アフリカで信託統治となった国のうち現時点で何とか安定した国はガーナ1国だけ。他に発展途上国カメルーン1国。こちらは国内の反政府勢力を鎮圧できていません。残るソマリアタンザニアトーゴルワンダブルンジは全部後発開発途上国です。唯一安定してるガーナも独立してから長い間不安定で、1992年になってようやく安定したところです。信託統治が成功したというよりガーナ自身の力で安定させた感じです。何故こんなに上手くいかなかったのか。信託を受けた国が負担に耐えられなかったからでしょう。信託統治を本気でやろうとするなら強力な軍隊を送り込んで国土全域の反乱を鎮圧させる必要があります。その上で道路や電気、水道などのインフラを整備し、学校を作って教師の給料を払い、全国に警察署を作って警察官を雇う。現地の人に任せたら汚職が多発するので本国から人材を大量に送り込まなければなりません。植民地なら都市部や鉱山などの必要な地域だけを安定させれば良いし、同じく必要な地域だけインフラ整備すれば良いし、治安がどうなろうが知ったこっちゃないので警察も不要です。かかる経費が全然違うわけです。結局大赤字に耐えられず、まだ全然発展してないの分かってたけど急いで独立させたものと思われます。この方法の結論として、やればできるけどやってくれる国がない、ということになります。ガーナのような小さい国ですら無理だったのにコンゴとか絶望的です。インフラ整備は世界中の先進国からお金集めて、軍隊は中国とロシアが提供するとして、それでも人材をどうするか。日本の公務員数が330万人ぐらい、コンゴでも同じ人口比の人数が必要とすると230万人ぐらいです。汚職を防ぐために10%を信託統治側から出すとして23万人。行政のシステムは全国統一しなければなりませんから、あちこちの国から連れて行くわけにはいきません。しかも言語の問題があります。フランス語話者じゃなければいけません。フランス語圏の先進国で人口が多い国、つまりフランス人を23万人です。非現実的ですね。コンゴを強引に発展させるのはこのくらい難易度が高いということです。

 

ここまでで現実的には無理だというのがわかりましたが、まだ奥の手があります。それが『日韓併合』方式です。日韓併合の説明だけで長くなってしまうので、次のエントリで↓

アフリカを発展させる方法(その2) 〜日韓併合という社会実験〜 - 世界の片隅でひっそりと呟く