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アラフィフのサラリーマンです

「お前らを漁師に戻す」ソマリアの海賊をあっという間に消滅させた"すしざんまい社長"の声かけ 年300件の海賊行為が一気に消滅

数日前のプレジデントオンラインの記事です。今はもう削除されてます。

要約すると、『戦乱ですっかり荒廃したソマリアでは海賊が出没して漁師が漁に出られなくなってしまった。喜代村の社長がソマリア沖のマグロを仕入れたくてソマリアに行ったら、漁師自らが海賊と化していた。獲れたマグロは全部買い取ると約束したらみんな漁師の仕事に戻って海賊行為がピタリと止んだ』というような内容です。

ずいぶん前に同じ記事を読んだので「転載かな」と思ったんですが、今日になってから実はフェイクニュースだったというのが発覚して削除したそうです。喜代村の社長が、数年前に話題作りでついたホラがウケたので、味を占めてもう一回同じネタを売り込んだ、というのが真相なようです。確かに出来過ぎてますよね。事実だったらノーベル平和賞ものですからね。日本人は信用するところから入る面があるので、こういう人にとっては非常に住みやすい社会でしょう。ホラ話は別に犯罪でも何でもないですし。掲載したプレジデントからすれば損害賠償請求でもしたいところでしょうが、世間からすればマスコミが裏を取らずに掲載する方がおかしいとしか思いませんからね。これが中国のような疑うところから入る社会では掲載してもハナから信用されないでしょうし、『ここでは騙す人の方が普通の人なのではないか?』『もしかして【信用】に該当するヒンディー語は存在しないのではないか?』という疑問を持つレベルのインドでは記事にもしてもらえないものと思われます。

 

この記事を紹介した目的は「フェイクニュースに気をつけましょう」ということではなく、フェイクを暴いた高野秀行さんと梅本優香里さんのツィートを紹介したいからです。

↓高野さんがこちら。

高野秀行 on Twitter: "海賊とすしざんまいの社長が話題になっているけれど、そもそもソマリアの海賊は漁業と似通ったビジネスモデルで行われているから、お金を出す人が「船じゃなくて魚を捕まえよ」と命じれば、スタッフはそれに従うはず。ただし、外国人が現地のソマリ人と信頼関係を築くことはすごく難しいだろう。"

2016年のツィートですので、前回の上記記事の配信の時点で既にフェイクだというのは暴かれてたんですね。

↓そして梅本さんがこちら。

Yukari Umemoto/梅本優香里@アフリカビジネスパートナーズ on Twitter: "2015年のフェイクニュースが復活。当時すしざんまいさんに確認しましたが、ソマリアにはまぐろを陸揚げできる港がなく、またすしざんまいは「冷凍倉庫や流通設備」していないので、沖合で捕獲しセーシェルで陸揚げしたとのこと。つまり、海賊は漁師になっていないし、なんの仕事もあげていません。… https://t.co/F3G5cupQ1x"

高野さんのツィートからは、『仕事として海賊をやっている』ということが、そして梅本さんのツィートからは『仕事ができる環境が整っていなければ働こうにも働けない』ということが分かります。喜代村の社長も同じことを言ってたわけですが、いかんせんホラ話では価値がありません。

この2つのツィートを紹介したのは、私が考える「無敵の人を減らすことが犯罪を減らす最良の方法である」という主張の良い例だと思ったからです。ヤクザや技能実習生のことです。

どんなに恵まれていても犯罪者になってしまう人がいます。なので犯罪をゼロにすることはできません。しかし、そういう根っからの犯罪性向の人よりも、環境が原因で犯罪者になってしまった人の方がずっと多いと思われます。何も失う人が無いから開き直って犯罪者になった、という人が大多数なのではないでしょうか。これは私より先に多数の人が主張していることです。であれば、『無敵の人』を『守るべきものがある人』に変える、即ち『無敵の人に社会的地位を与える』ことで大幅に犯罪を減らすことができる、と思います。社会からはみ出した人に社会の中での居場所を作ることです。『生かさぬよう殺さぬよう』な給料で働かせないこと、犯罪者ではない仲間達と共に生きて行く場所を行政が整備すること、この2つを実行できればみんなが笑顔で生きられる社会を作ることができると確信しております。